電通勤務時代に都合12年弱に及び中国の武漢・北京・広州の3都市に赴任していたニューホライズンコレクティブ(NH)メンバーの木暮謙一さんは、現在その経験を活かして新たな中国とのビジネスを開発しようとしている。
なぜ今中国とのビジネスなのか?そして血縁やチャイナスクールといったバックボーンを一切持たない木暮さんだからこそ感じる中国とは?
木暮さんが感じる中国の特徴の1つが奥深さである。言葉にすれば簡単ではあるが、実際に中国の地で感じる広さは日本にいて想像する広さの比では無いという。それだけ広い国土故に地域ごとに文化や歴史が存在し独自の特色を持っている。いわば、中国という大きな枠組みの中にいくつもの異なる民族や文化を備えた国が共存しているようなものである。それ故、中国や中国人のことを分かるという人も、分かっているのは北京や上海といった名の知れた主要都市のことだけの場合が少なくない。これらの都市は極めて巨大な都市ではあるが、中国では2級都市と位置付けられるものの人口が1,000万人を超える都市もいくつも存在してそれぞれの都市毎に特色があるので、北京や上海の特色を分かっていてもそれがイコール中国を分かっていると言えるものでは無い。多様な民族ごとに異なる文化や歴史を持っており、全体像として一括りに語ることなどできない多様性があり、まだまだ見えていない部分がたくさんあると感じさせられる国、それが木暮さんが実感する中国なのである。
そしてこの多様性こそが木暮さんが中国とのビジネスを志す理由でもある。今後のビジネスを志向する際に、日本の中のみでの取り組みでは後発故に拡大は簡単ではない。国内のビジネスの可能性を広げるためにも規模の大小を問わず何らか海外とのビジネスを稼働させていることは自身の強みを生かす上で不可欠と考えている。今後のビジネスの方向性をフラットに考えた際に、この中国というマーケットへのアクセスに自身が独立した一つの意義を見出したのである。
木暮さんが今実現に向けて動き出している中国とのビジネスの一つが日本酒などの少量高価格帯の商品の販売である。中国の持つ多様性の一つに貧富の差がる。そして富裕層の財力は非常に豊富で購買意欲も高いため、良いと思うものにはいくらでもお金をかけることができる。このような富裕層はビジネスターゲットとしてはやはり非常に魅力的な存在である。こうした富裕層に向けて直接ではなく現地のプラットフォーマーを介してPRやプロモーションもセットにした商品販売の展開を模索している。
もう一つの取組が中国の優秀な人材の活躍の場の提供である。中国では若者の失業率の増加が顕著で、それは優秀な学生でも例外ではなく、超一流と言える大学を卒業しても就職先が見つからないという学生も少なくはない。一方で日本以上に厳しいと言われる受験戦争を乗り越えてきた分、概して勉強熱心な人材が多い。しかし、そういった人材が海外に働く場を求めようとしても、現状は個人が自力で探すしか術がない。
そこで、こうした学生などの人材に海外で活躍するための教育・トレーニングを施した上で、日本をはじめとする国外での活躍や雇用の場を提供する枠組み作りに取り組んでいるのである。
いずれの取組も木暮さんが一人で取り組めるものではない。プロジェクトとしてパートナーを見出し、有効なチームを作らないと成り立たないものである。中国とのビジネスに際してはこのチームビルディングに中国のパートナーを組み込む必要が生じる。
この時、木暮さんが意識していることは、複数の信頼できるネットワークを持つことである。多様性を有する中国において1人や2人の人の情報やネットワークを鵜吞みにすることはリスクである。それらの情報やネットワークはある一面においては誤った情報ではないかもしれない。しかし別の側面から見れば正しくはない、或いは鵜呑みにするとリスクのある情報であるというケースが少なくないのである。加えて中国の特に商売の上手い地域の人は決して本音を表情に出さないなど日本人と比べると隙を見せることがない。同時に中国でのビジネスにおいて政治的なリスクや日本に対する感情面でのリスクはどうあっても避けきることはできないものである。
こうした経験則を基に木暮さんは複数の、そして多様なフィールドのネットワークを通じて情報を取る体制を構築しているのである。
これらのノウハウは中国にルーツを持たないために中国の人たちとは異なる感覚を持つ木暮さんが、10年以上に渡って中国の武漢をはじめとする3つの都市で実際に生活をして中国の人たちと膝詰めで仕事を行ってきたことで養われた知見であると言える。
中国をはじめとする海外ビジネスを成功させるためには、現地の文化や特色、そしてリスクを的確に把握し、信頼できる複数のネットワークを築くことが肝要である。そのことを実感を持って認識し、実行できる木暮さんのような存在がニューホライズンコレクティブの可能性に厚みを持たせている。
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木暮 謙一(こぐれ けんいち) / LIGHTUP合同会社
マーケティングの仕組みづくりを中心に、モノ、サービス、人に関わるビジネスプロデュースを進めています。日本には本当に優れている商品やサービスがまだまだ沢山あると思っています。それらを発見し海外へ展開していく仕組みづくりに取り組んでいます。マーケットを海外にまで拡げた仕組みづくりは、ビジネスだけに関わらずいろいろなセレンディピティが起こります。嗜好、文化、組み合わせ、出会い・・・。
電通勤務の最後12年間、武漢、北京、広州の三都市で駐在し生活した経験や人脈を踏まえ、中国をはじめとした東南アジアやアメリカも含めたマーケットでそういった仕組みづくりを進めています。
新たな価値が起こる瞬間を一緒に創りませんか。よろしくお願いします。