トップアーティストと、障がいを乗り越えたアーティストが共演する音楽イベントのプロデュース

 「誰もが楽しめる音楽ライブ」をコンセプトに、第一線で活躍するトップアーティストと、障がいを乗り越えたアーティストが共演し、あらゆる違いを超え、音楽の持つ本来の包容力を体感できる唯一無二のステージを謳う逗子ライブインクルーシブ。2025年春にミュージカルやポップス、タンゴ、ブルースなど、多彩なジャンルで活躍するアーティストや手話パフォーマーなどが集結し、障がいの有無に関わらず、出演者・観客を問わずすべての参加者が快適に楽しめる環境を整えて第2回目を開催したこの音楽イベントに初回から制作プロデューサーとして携わっている人物がライフシフトプラットフォームメンバーである坂本淳さんです。

スークス株式会社
スポーツ・ソリューション・ディレクター 、POCアクティビスト、ブランデッドコンテンツ・クリエーター

坂本淳

坂本淳さんのプロフィール:

スポーツビジネス界をソリューション視点でわたり歩いています。
その一方で、さまざまな意味で「弱者とともにある」ことを信条として仕事をしています。
その結果、あらゆるコンテンツを企画する人になってしまいました。

 電通在職中に自身も障がいを抱えることになった坂本さんは、今後の人生の1分1秒も無駄にしたくなという思いからライフシフトプラットフォームに参加しました。そして障がい者であっても生きがいを感じて生活できる社会でありたい、そのために障がいを理由に何かを諦めるのではなく、自らの役割を果たし社会の最前線で自身の存在を発信していきたいと考えていたのです。  また、この先ますますの少子高齢化、人口の減少局面を迎える日本の社会において、同様の人口減少局面が先行するヨーロッパの事例を見てもスポーツ・音楽そしてアートといった文化にこそ社会に価値を提供できると共に未だ成長のポテンシャルが残されていると考え、これらを活用した地域の活性化をライフシフトに際して自身が取り組む大きなテーマと位置付けていた坂本さんは、音楽で健常者も障がい者も楽しめる取り組みを行いたいという構想を心に秘めていました。

 そのような坂本さんにある時一般社団法人ソーシャルアートラボという団体から相談が入ります。逗子市の主催で毎年3月下旬に実施している生涯学習イベントのメインコンテンツについての相談を受けることになりました。そこで以前より温めていたトップスターと障がい者アーティストたちが一堂に会した音楽イベントであるライブインクルーシブのプロデュースを手掛けることになったのです。障がい者だけによるライブはあるものの、ライブインクルーシブのように健常者と障がい者が共演し、様々なジャンルのアーティストが登場するフェス形式の音楽イベントはまだ日本ではあまりないオリジナリティの溢れる枠組みでした。

 この構想を実現するため、坂本さんが最初に動いたのは演出の屋台骨を担える人物へのコンタクトでした。この人物が坂本さんの学生時代からの友人で、菊田一夫演劇賞の受賞経験者でありディズニー映画「アラジン」の歌の担当もしているなど日本を代表するミュージカル俳優、そしてシンガーソングライターとして活動する石井一孝さんです。そして坂本さんの構想に賛同した石井さんが演出を担ってくれることで数多くの一線級のアーティストが趣旨に賛同し、ライブインクルーシブへの参加へと繋がっていきました。

 もう一方の障がい者アーティストのキャスティングには坂本さん自身が自ら動きました。まだ見ぬ才能に光を当てるべくYouTubeをはじめ、オンライン上で情報を集め、これと思ったアーティストには自ら直接連絡を取り、或いはライブ会場に出向き、趣旨を説明し出演交渉を行っていったのです。  その際に電通の社員としてコンタクトする場合とはやはり相手の反応の違いがあったと語る坂本さんは、しかしだからこそ、ゼロから積み上げて関係を構築する醍醐味を感じたと語ります。そしてその結果、健常者・障がい者を問わず多様なジャンルのアーティストが一堂に会するライブインクルーシブの1回目「逗子ライブインクルーシブ2024」の開催に至ったのです。

 そしてこのようなソ-シャルグッドなオリジナルイベントを初めて実現させた成果は大きく、続く今回の2回目に向けては数多くのボランティアスタッフや賛同者が集まりました。また反響は地域住民だけにとどまらず、神奈川県の文化支援プログラムである神奈川県マグカル展開促進補助金の対象事業に採択されたほか逗子市やその近隣自治体の後援名義も取り付けられる事業となりました。このようにして2025年3月23日(日)に2回目となる「逗子ライブインクルーシブ2025」が開催されたのです。

 坂本さんはこのように積み重ねてきた2年間の実績を踏まえて、改めて音楽・文化イベントには地域の活性化に寄与するパワーがあることを再認識しています。次年度以降の逗子での継続開催を目指すとともに、将来的には蓄えたノウハウを基に他の地方でも同様の取り組みを開催することを目指しています。 このようにライフシフトに際して一番やりたかった、健常者と障がい者のアーティストが一堂に会した音楽イベントによる社会貢献事業を基に地域の活性化を図っていくことで坂本さんはこれからも自身の存在を社会に発信し続けていくのです。 (当日ボランティアとして参加してくれたライフシフトプラットフォームのメンバーと)

<プロフィール> 坂本 淳 多くの人が「それが当たり前」と思っていることを、ちょっとだけずらしてみるとそこに価値が生まれる・・・ 「Slightly Out Of Common Sense」という考え方で企業のコミュニケーションや新たなコンテンツのあり方を提案する、アイデアブティック「SOOX」代表。 電通時代は営業部門でキャリアを積み様々な大型企画をプロデュースするも、下肢が自由に動かなくなる難病を発症し戦略プランニング部門に移籍、ブレインワーク中心のライフスタイルにシフトし、その後独立。 少子化、人口減少社会のキーとなる「スポーツ」「アート」「音楽」分野を主戦場に活動中。

ライター河合 洋一

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