プロスポーツチームに、もうひとつの応援オプションを!

「ゴォーーーーール!」 「逆転サヨナラ満塁ホォーームラン!」 「ニッポン勝ちましたぁー!」 この状況を想像しただけで鳥肌が立って、、、というかたが多いのではないでしょうか。 勝つ喜び、負ける悔しさはもちろん、豪快なプレーや素晴らしいスポーツマンシップ、際どいプレー、試合後の敵味方なくなった選手同士の清々しい姿、などにも心を動かされます。 自分自身が実際に試合や競技に参加していなくても、観戦して涙を流し、それを仲間と分かち合ってまた感動。 われわれはスポーツに度々感動や勇気をもらっています。 世の中には、野球、サッカー、バスケットボール、アメリカンフットボール、アイスホッケー、ラグビーなどたくさんのチーム競技があり、その各競技ごとにプロチームや学生チーム、アマチュアチームなどがあります。チームの運営状況はさまざまですが、現在プロチームの運営は、主に①チケット収入、②グッズ収入、③スポンサー収入の3つで成り立っています。 ここに、第4の収益源として生み出されたものが今回のお話です。 今年3月「マイクロオーナーズ」というサービスアプリが誕生しました。 構想から3年、、 ようやくこのアプリをリリースしたのが、NH一期生 藤澤佳穂さんです。

合同会社830PLANNING 代表/株式会社MICRO OWNERS 代表取締役
CEO&Creative Producer

藤澤佳穂

藤澤佳穂さんのプロフィール:

電通時代は主に企業ブランディング、クリエイティブ制作そしてメディア展開までビジネスプロデューサーとしてマネジメントを行い、クライアントが持つ課題に対してソリューションを創造。スポーツビジネスにおいてもゴルフトーナメントからグローバルサッカー、プロ野球までスポーツビジネスに関与また海外ではクリエイティブエージェンシーのCEO時代にCreative Agency of the year やDigital Agency of the year を受賞した。現在はDXの方面で新しいビジネスを創造中

思い入れ

2大会連続でサッカー日本代表が決勝トーナメントに進出した昨年のFIFA World Cup、そしてまだ記憶に新しいWorld Baseball Classic(WBC)での14年ぶりの侍ジャパン優勝。チケットは入手困難、テレビ中継は高視聴率、という状況が示すように、とくに代表戦の試合は日本人の関心も大きく、感動も大きかったはず。 「どれだけデジタルが進んでも人はエモーショナルな生き物であるから、人生や生活に少しでもエモーショナルな出来事がある方が絶対幸せだと思う。こういった体験は人生には欠かせないものだ。」 藤澤さんはそう感じていました。 一方で、藤澤さんは、チームや選手の輝かしい功績や、感動的なプレーの陰には、チームの経営面で厳しい現実があることからも目を背けることができませんでした。プロチームに所属していながらも、練習の合い間にアルバイトをする選手もいるといいます。テレビやスタジアムで観ている選手は一見派手に見えて、きちんと経営が成り立っているチームはごく一握りだそうです。また、そういった経営状態では、お金をかけて良い監督、良い選手を獲得できないため、人気も上がらず、チームも勝てなくなる、スポンサーもなかなかつかない、という悪循環にも。 藤澤さんは、以前担当していたクライアントに、あるスポーツの協賛権を提案し、見事契約となりました。 ところが数年後、そのクライアント内の事情もあり、スポンサー契約の方にも影響があったこともありました。 スポンサー企業は、市況や業績など、その時の状況で経営判断をしなければならない局面もあるため、どうしてもこういったことは不安定にならざるを得ない。 仕方ないことだと思いつつも、選手たちの残念そうな顔を見ると、その悔しさ、虚しさは消えることはなかったといいます。 感動を届けてくれるアスリートの寿命は短い。 スポンサーだけに頼る事なく選手が安心してプレーできるように、なんとかならないか、、、 という想いは、日本に帰ってきた後も、ずっと藤澤さんの心に残っていたそうです。 しかし、それが第4の収益源を確保する今回のアプリを作る原動力になったのでした。

世の中にまだないアプリ

2年ほど前。 筆者と何人かで藤澤さんを囲んで夜食事をしていた時のこと。 「ちょっと俺いまアプリ作ってるからさ、もう少し完成まで時間かかるけど楽しみにしといてな」と、 忘れもしない、藤澤さんはこれまでで一番目を輝かせながら、グラスを傾け、一気に杯を乾かしたのでした。 あの時のそれだったのです。 そして今年3月。 藤澤さん自身も学生時代はラグビー部に所属し、他のあらゆるスポーツ競技にも興味を持ち、観戦してきた経験や、スポンサーの状況が変わってしまうという悔しい経験を抱えて、大好きだった電通を辞めたので、一念発起してゼロイチ事業にチャレンジしようと、資金を集め、メンバーを集め、そしてアプリ開発の準備に何年も費やした末、一般社団法人マイクロオーナーズを設立し、「マイクロオーナーズアプリ」をローンチしました。 これまでにないこのアプリのすごいところは、ビジネス特許も申請しているという「チーム」、その「ファン」、そしてそのチームに地元の「地域」の3つが相互に応援し合い、三方よしになるというところなのです。 一口馬主の気分でデジタル上のオーナーになれる。 人生は受け身で受け取るだけでなく、自ら参加していく方が喜びも悔しさも大きい。 このアプリは500万や1000万といった大金を払う必要なく200円からチームオーナー気分でチームに参加出来るアプリなのです。 使い方は簡単です。 スマートフォンでマイクロオーナーズアプリをインストールし、自分の応援しているスポーツのチームと好きな選手そして普段使っているキャッシュレス事業者を選んで設定しておきます。 ある日、どこかのお店で買い物をするとしましょう。決済時このアプリを立ち上げ、登録してある電子マネーで支払うと、ガチャチケットというものがアプリに配布されます。そのチケット1枚で、応援しているチームの選手の写真がついたデジタル上のメダルを1回購入できる権利が得られます。選手メダルは、1回につき10枚まで購入でき、1枚200円、5枚で900円、10枚で1600円。この購入金額の諸経費を除いた分がチームに送られます。 店頭に選手カードが同封されているスナック菓子があると思いますが、それのデジタル版だと考えてください。 ファンは最小200円でそのチームのデジタル上のオーナーになることができ、チームに200円分の貢献をしながら日常的に応援できるのです。 更にアプリにあるクーポンを持ってそのチームの本拠地周辺の提携飲食店で食事をすると、割引などの特典が受けられ、ガチャチケットも配布されます。また、食事代をアプリ内の電子マネーで支払えば、さらにもう1枚ガチャチケットがもらえます。 このように、マイクロオーナーズアプリで「ファン」と「チーム」と「地域」の三角形ができ、ファンが応援金を送る→チームが潤う→地域が活性化する→チームが強くなる→さらにファンが増える、という応援の循環が生まれる。 この三角形が様々なプロスポーツコンテンツを真ん中において北海道から沖縄まで各県に生まれていく。それがひとつの社会課題を解決していく、そんなアプリなんです。

苦悩

ラグビー、バスケットボール、サッカー。いくつかのプロチームにこのアプリとのパートナーチームになる為の営業に行き、最初に理解を示してくれたのは、ファンクラブ会員数がJリーグで最も多く10万人を超えているという浦和レッズでした。 当時はコロナ禍で入場制限があり、浦和レッズでさえ2020年と2021年の入場収益は大幅減という状況もあり、マイクロオーナーズとの協業に賛同してくれました。 「浦和レッズさんと組めたのはファンの数、熱さそしてPR性含めて本当に大きいです。そしてこれをきっかけに当初の目標であったもう少しスポンサーやファン数において規模の小さい経営資金に困っている地方のチームと組めていければ」と藤澤さんは言います。 「その方がこのアプリによる効果が実感できるのではないかと思っています。ファンは、自分の送った応援金がたとえば練習場の芝の補修に使われた、新しいボール購入に使われた、となると、目に見えるわかりやすさがあるんです。」 しかし、良いと思っていても、これまでにない新しいものを理解してもらうことは決して簡単なことではありませんでした。 Twitter(現X)にアプリのローンチの告知を投稿した際のこと。 「こんなアプリはいらない!」などと、目を疑うようなネガティブな書き込みをいただき、胸を痛めたことがありました。しかし、そこはコメントを真摯に受け止め、逆に教えを乞うような内容で丁寧に返信をして説明をし続けたところ、逆にこのアプリのファンになってくださるということがあったそうです。 ローンチ当初、初めて行く慣れない浦和の街で、クーポンの提携の営業開拓で飲食店を何軒も何軒も回ったものの、なかなか理解頂くことが難しく、挙句、気づいたら終電間近で雨も降り始め、しかもスマートフォンの充電もなくなるという状況で、どうしてこんなことをやっているのだろう、、という悲しい気持ちになったそうです。 しかし、アプリのゼロからの開発にトライアンドエラーを繰り返し、資金もたくさん投下し、時間もかかり、なかなかうまく思い通りにいかないという苦しい状況でも諦めなかったのは、元の会社を辞めてまでもこれまでにないものを世の中に出すという挑戦をして成し遂げる決意と意志があったからでした。このアプリを作り、貢献したい、という強い気持ちが藤澤さんを支えていたのです。 浦和街のクーポン提携店舗MAP(2023年10月時点のものです)

三方よし

現在、アプリのダウンロード数は順調に伸びており、クーポンで協力してくれるお店も8店舗にまで増えていっているそうです。課題は山積みですが、これからが楽しみだ、と藤澤さんは言いながら再びあの時のように目を輝かせていました。 今後、応援できるチームも増えていくそうなので、あなたの応援しているチームが加わった際には、少額でも、いつものお買い物と一緒にそのチームに応援金を送ってあげてください。 そして、ホームゲームの試合会場に足を運んだ際には、クーポンを使って近隣の提携店に試合後の祝杯をあげに行っていただければと思います。 お店も潤い、チームが強くなって勝利していくと、なにより「チームオーナー」のあなたが一番嬉しいはずですよ。 写真上:元日本代表の岡田武史監督 写真下:藤澤さん@浦和レッズの試合会場

■スポーツチーム応援アプリ「MICRO OWNERS 」https://micro-owners.com/ ■ iPhone:https://apps.apple.com/jp/app/micro-owners/id6444895402 ■ Android:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.micro_owners.moapp

文: 藤井慎太郎