2024.09.19

ニューホライズンコレクティブとIdentity Acaedmyが書店危機の課題解決を目指す「みんなの書店」プロジェクト プレゼンセッション・レポート

ライフシフトプラットフォーム(LSP)でミドルシニアのキャリア自律を支援するニューホライズンコレクティブ合同会社では、苦境に立つ全国の書店の復活に挑む「みんなの書店」プロジェクトを行っております。その第1フェーズとして、ミドルシニア世代とZ世代の学生がタッグを組み、「2050年の書店」をイメージしながらまとめた書店の新業態に関するプレゼンセッションを8月8日(木)に開催いたしました。そのセッションの模様をレポートします。 ▼プレスリリースはこちら https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000036.000080370.html 本プロジェクトは、LSPメンバーでNHプロフェッショナルパートナーの山内龍介さんが中心となって立ち上げたもので、今回は、実社会のリアルな課題に対して金融のリスクマネジメント思考を駆使して実践的な課題解決を探求するIdentity Academy(アイデンティティ・アカデミー)の大学生31名を起用して事業アイデアを構想しました。書店の新業態を日々構想している5社の書店社長の協力により、実店舗や社会での実装を想定し事業アイデアを評価してもらいました。 2ヶ月に及ぶ構想期間では、学生たちは全国各地の書店に足を運び、現地でのフィールドワークや書店関係者との意見交換を実施。プレゼンセッションには参画企業5書店の社長と協力企業の計6名の書店経営者が一堂に集結。31名の学生が6チームに分かれて事業アイデアを提案し、社長5名がその場で「実施検討」「興味アリ」「興味ナシ」の札を上げつつ実装を判断するという、白熱したセッションになりました。 Z世代による多彩な事業プレゼンテーションと白熱したフィードバック まずは書店企業の価値に注目し、全国各都市の市街の中心に書店があるという立地的利便性や書店の公正性/信頼性などを生かして地域創生や高齢化などの社会課題を解決しうる新事業で書店の存在感を示そうというアイデアが上がりました。また、人生に影響を与えた本や自分の生きた証となる本にフォーカスし、直に手で触れることで「読書の痕跡」を感知できるという紙の本がもつ価値に改めてスポットを当てたもの、また未来の書店業態としてイベントからコミュニティ、小売業からサービス業への転化を示唆する多彩なアイデアが提案されました。 またプレゼンテーション手法でも、自分の故郷を引き合いに地方と都市の情報格差を指摘するチームや、AIを活用する提案を行ったチームでは、実際にAIを活用したサービスのプロトタイプ版を披露。実体験や未来の夢をベースにしたZ世代のプレゼンテーションに、書店社長たちは深く頷いていました。 すべてのアイデアが社会実装に向けた検討へ。経営者とZ世代との直接交流を評価する声も ■総評 まず、参加した書店経営者からは、これからの顧客であるZ世代と直接交流するという今回のプロセスに対して、「本当に面白かった」と好感触の感想がありました。 また、別の社長からは「実店舗での実装、社会実装に向けて検討することが重要で、むしろこれからが本番」と意気込みを語りました。さらに別の社長は、「引き続きZ世代数名を専任で起用し、事業化までやりたい」という構想を明かしました。そこには「今後若い世代の手で地方で起業が生まれていく、書店はその起点となる」という大きな事業構想があると語りました。 一方、書店によっては自社の経営環境や背景を踏まえ、「アイデアの取り入れ方によっては実現できるのでは?」と興味を示しつつ「採択しない」という厳しいコメントもありました。アイディエーションがそのまま実社会で通用する訳ではないという気づきも、学生たちの大きな経験となりました。 最後に書店経営者からZ世代に対して、「社会に出てからも問いを立て、答えを探すという機会は頻出する。立てた問いに回答できているかを常に振り返ってほしい」など、これからの人生にエールを送るコメントもありました。 ■プロジェクトの今後の展望 プロジェクト発起人であるLSPの山内さんは、「2050年という誰も予見できない将来について、投資や金融リスクなども踏まえた精緻な事業構想をするという難しいテーマだった」と振り返った上で、そんな中で学生たちが、ビジネス的側面に最後まで多彩なアイデアを盛り込んでくれた、と感動を示しました。 結果として、6グループの提案した事業アイデアの全てに対して、複数の書店社長が「実施検討」「興味アリ」の札を掲げました。今後はNHのミドルシニアの手による精緻化を経て、5書店への再提案という形で社会実装に向けた検討(第2フェーズ)に入ることになります。学生の発想力と、協力をしてくれた書店企業の度量により実現した「みんなの書店」プロジェクトの今後の発展にも期待できるセッションとなりました。 「みんなの書店」プロジェクト プレゼンセッション開催概要 日   時 :8月8日(木)19時30分~21時30分 会   場 :New Horizon Collective合同会社銀座オフィス(東京都港区新橋1丁目7−1 近鉄銀座中央通りビル2F) プログラム:「2050年の書店」をテーマに、Z世代による事業プレゼンテーション/書店経営者からのフィードバック 登 壇 者 :株式会社今井書店 (本社:松江市) 代表取締役社⾧ 舟木 徹 株式会社啓林堂書店(本社:大和郡山市) 代表取締役社⾧ 林田 幸一 株式会社トップカルチャー(本社:新潟市) 代表取締役社⾧ 清水 大輔 株式会社有隣堂(本社:横浜市) 代表取締役社⾧ 松信 健太郎 ニューコ・ワン株式会社(本社:熊本市) 代表取締役社⾧ 塩原 礼 協力:株式会社三洋堂ホールディングス(本社:名古屋市) 取締役副社⾧ 亀割 卓  ライフシフトプラットフォーム・メンバー 山内龍介 敷根佐保子 林大介 堀切禎史  アイデンティティ・アカデミー 代表理事 森山博暢 各務太郎