
2025.05.27
東京タワーから始まる、新たな「日本文化発信」の挑戦 ~折り紙、そしてその先へ~

東京タワーを情報発信の拠点として活用する、この新たな価値創造の取り組みは推進役となっているチームがライフシフトプラットフォームのメンバーで構築されている「売れる仕組み創造室(以下、売れ創)」です。 今回のプロジェクトは、東京タワーを情報発信の拠点として、日本各地の魅力を世界に向けて紹介する取り組みであるLet’s meet atの主催者から相談を受けたことがきっかけで始まりました。東京タワーにおいて、どのように新たなコンテンツを発信できるかを検討する中で、売れ創はさまざまな企画を提案しました。その中で、東京タワー側が特に関心を示したのが「折り紙」をテーマにしたコンテンツでした。

折り紙コンテンツの提案は、売れ創が過去に関与したベンチャーピッチイベントがきっかけとなっています。売れ創メンバーが審査員の一員を務めたこのピッチイベントで、折り紙ブランド「Origamiq(オリガミック)」との出会いがあったのです。Origamiqは、「オリガミの本当のチカラ」をキーワードに、伝統的な折り紙技術を応用したアート作品や商品を生み出しているブランドで、折り紙作家のマネジメント・プロデュースを行っています。作家のオリジナル作品を保護し、その才能を最大限に活かした商品開発や体験機会を提供、従来の子どもの遊びとしての折り紙に留まらず、アート、教育、国際交流といった幅広い分野で折り紙の可能性を追求している点に特徴があります。

Origamiqのこうした活動に着目した売れ創は、東京のランドマークである東京タワーから折り紙文化を世界に発信する企画を立案しました。こうした開催されたイベントが「LET’s MEET at Origamiq @TOKYO TOWER -A Folding Journey 25’spring-」で、2025年3月31日(月)~4月15日(火)の期間に東京タワーのフットタウン3階にあるTOWER GALLERYにて開催されました。 折り紙作家作品の展示、来場者向けワークショップの開催など、多角的なプログラムによって構成されたこのイベントでは、例えば折り紙ワークショップにおいて伝統的な鶴だけでなくこのイベントのために開発された東京タワーの折り方を体験できるメニューを用意するなどOrigamiqの特色を取り入れることによって来場者に特別な体験を提供し好評を博しました。 「LET’s MEET at Origamiq @TOKYO TOWER -A Folding Journey 25’spring-」への実際の来場者の傾向としては、当初の想定通り外国人観光客の比率が高く、折り紙に触れるのが初めてという人も多い中で言葉を超えた体験型交流が生まれました。また、子どもから大人まで幅広い年代層に楽しんでもらえた点でも折り紙の普遍的な魅力と日本の文化の発信地としての東京タワーの可能性を改めて発信する機会となりました。

一方で運営面では、現場オペレーションの最適化、告知方法の工夫なども必要でした。売れ創は、これらの課題に対して柔軟な対応を進めることで、東京タワーの来場者に対して日本文化の魅力を伝える一助となるこのイベントの開催に至りました。 また、その後の開催期間中における運営上の反省点も浮き彫りになりました。特に情報発信力の強化や、現場での誘導体制の改善、事前予約制の導入検討など、より精緻で多角的な運営体制を整える必要があるという点が次回以降の課題と位置付けられました。

これらを踏まえ、売れ創は今後の展開として、折り紙のみならず日本文化全体をテーマに拡げたコンテンツ展開を検討しています。具体的には、日本酒や和ワイン、クラフトビールなど、日本の伝統的な酒文化を紹介するイベントの開催なども検討しています。これらの分野は、近年インバウンド市場でも人気が高まっており、折り紙同様、体験型のアプローチを通じた文化理解を促すことができる領域であると捉えています。 特に、日本酒やワインについては、試飲体験だけでなく、酒造りに関するストーリーの紹介や、作り手との交流イベントの実施など、多様な仕掛けを検討しています。また、クラフトビールについても、地域特産品とのコラボレーション企画などを通じて、観光誘致への波及効果を狙っていく方針です。 このように、今回の東京タワーでの取り組みをひとつのモデルケースとし、今後さらに多様な日本文化の発信を推進していく考えも持っており、引き続き、伝統文化と現代マーケティングを融合させながら、売れる仕組みづくりの取り組みを推進していきます。

<プロフィール> 売れる仕組み創造室 中小企業及び地方企業などに向けてニューホライズンコレクティブ合同会社メンバーがチームとなり商品開発・改良、販路拡大までサポートするチームです。
ライター河合洋一