関係も仕事もゼロから作る

「日本道路」と聞いて首都高速を走っていた時にそういえば、そんな看板があったなあ。と思い出す方もいるのではないだろうか。確か首都高速の汐留ジャンクションの近くに大きな看板が出ていた。多くのクライアントを抱える電通なので、どこかに営業担当がいて扱いがあるのだろうと私は思っていた。しかし、これまでほぼ、お付き合いがなかったという。道路建設という業態の会社にとっては公共工事の入札などがメインなので広告やPRという世界はほぼ無縁であったのだから、当然といえば当然なのだが、そんな日本道路という企業にPRという武器を持ち込んだNHメンバーがいる。

DugOut
ビジネスプロデューサー、プランナー

小林隆寿

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小林隆寿さんのプロフィール:
電通では27年に渡り営業の最前線で、様々な業種のクライアントを担当し、それぞれの課題解決にあたってきました。特に企業ブランディングの領域では多くの経験を有しています。クライアントが抱える潜在的な課題から掘り越して、あらゆるソリューションを適切にアレンジして、スピーディーかつ丁寧に仕事を進めます。

Q:そもそも何かきっかけがないと、始まらないと思うのですが、どのようなきっかけで日本道路さんと出会い仕事が始まったのでしょうか? 小林:自分がメンバーになっているゴルフ場でゴルフ仲間として前社長と知り合ったのです。その時、ちょうどコロナ禍で、私が友人の病院からコロナの病原検査キットの販売先がないか相談されており、その際に日本道路さんとしては現場の作業は止められないので検査キット欲しいと言われ、納入したのが始まりです。 ゴルフから始まる仕事もある。そしてコロナの検査キットという始まり方。どこに仕事のきっかけが落ちているのか?わからない。個人事業主になると人との繋がりを重視しているが、小林さんはそれをゴルフコミュニティから掴んできたのである。 小林:ゴルフ場っていいんですよ。基本的に仕事がうまくいっている人たちが集まるところですから。それに多種多様な業種の人たちがいますし。 Q:関係性がゼロのところからコロナ検査薬という広告とは全く違うところからお付き合いが始まり、どのように発展していったのでしょうか? 小林:次に株主総会で使う会社紹介ビデオの相談が来ました。さらに2029年の創立100周年を迎えるのですが、そこに向けて、まず本社ビルの建て替えがあり、新しいビルを建てるにあたって、新橋の本社ビルを解体することになっており「その前に外観、内観全てを記録に残しておきましょう」ということで執務室、役員室などの内側から外観までNH撮影部に撮影をお願いして納品しました。その後も、移転に伴う撮影などを3回行いました。さらに2024年4月から新しいR&Dや機械メンテナンス、研修などを行う施設として「土浦テクノBASE」という拠点ができました。この施設の撮影もNHプロフェッショナル撮影チームにお願いしました。 (写真 土浦テクノBASE 撮影:NHプロフェッショナル撮影チーム)

Q: NHプロフェッショナル撮影チーム大活躍ですね。 小林:そうですね。4回も撮影の仕事をいただいていますからね。撮影は、通常カメラマンとカット数や2次使用の許諾とか面倒な見積もりや契約があるのですが、NH撮影部は、1日あたりの価格設定で、何点撮影しても時間が許す範囲でOKです。もちろんきちんと撮影してくれクオリティも高いですし、撮影した素材はセレクトしてもらい、クライアントが希望されたものは納品してくれますので、気に入ってもらっています。 Q: 撮影以外でも、新たなお仕事が始まっているそうですね。 小林:クライアントさんから「ショールームを作りたい!」と言われたのですがクライアントさんにとっても初めてのことで「何から手をつけていいかわからない。」と。私は旭化成のヘーベルハウスなどの経験からショールームは作ってきたので、外部スタッフも知っていたのでお引き受けしたのですが、そもそも通常の作業だとオリエンから始まると思うのですが、アピールしたい技術や工法なども全くまとまっていなかったため、まずは会社として目指すところから徹底的に議論しまして、プロジェクトの全体設計をつくり、丸二年かけてショールームを作りました。一般公開はまだですが、社内の人たちは内覧を終え、自分たちの仕事の価値や魅力を可視化できたのは良かったと評判のようでよかったです。 (写真 土浦テクノ BASEショールーム 撮影:NHプロフェッショナル撮影チーム)

Q: 今後について教えてください。 小林:今は公共工事が減っていて、その中で民間の仕事を獲っていかなくてはいけないとなっているのですが、その中で環境対策に関して様々な取り組みがあります。一般のみなさんは意外に感じるかもしれませんが、日本道路は環境省の環境先進企業にも認定されています。そして様々な環境技術を開発しています。アスファルトは都市の温暖化の最も象徴的なもので、ここに環境技術が使えるとなると引き合いが多いらしいのです。この100周年というタイミングで、この先100年をどうしていくのか?成長戦略の一つとして環境技術をどう世の中にアピールしていくか?などを考えています。 本日は、ありがとうございました。 (写真 ショールームで紹介される環境技術 撮影:NHプロフェッショナル撮影チーム)

小林さんは、電通時代より営業として多くのクライアントを担当していた。しかし今の立場は、広告を売りにいく営業ではなく、クライアントのニーズを受けて、そのソリューションを的確にアレンジしていくソリューションのコーディネーターであり、そのソリューションを実施していくプロデューサーである。クライアントが「何となくやりたいこと」や「やらなくてはいけないと思っていること」に対して、何のためにやるのか?という本質に立ち返り、そこからソリューションを組み立て作り上げている。ソリューションを作り出すためには様々な手札が必要となる。今後、仕事の中身によってはNH撮影部のように、他のNHメンバーと連携してやらないといけないこともでてくるであろう。さらに色々なメンバーと連携して新たなソリューションが提供されるのが楽しみである。 (取材・文 あかぎ よう)